支払った相続税の一部は、譲渡所得の計算上、相続税の申告期限の翌日から3年間限定で費用に算入できる場合があります。
譲渡所得は収入金額から取得費と譲渡費用を控除して計算しますが、相続財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの間に譲渡した場合には、その譲渡した相続人のすべての相続した財産のうちにその譲渡した相続財産の占める割合に相当する相続税を取得費に加算することができます。これを取得費加算の特例と言います。取得費が不明である場合に収入金額の5%を取得費とする概算取得費の特例との併用は可能ですが、空き家の3,000万の特別控除とは併用できません。
取得費は被相続人の取得費を相続人が引き継ぎます。つまり、被相続人が購入した金額です。相続税評価額で相続し相続税が課税されているため、取得費は相続税評価額と思うかもしれませんが、相続税は死亡の一時点において被相続人の財産の時価で財産に課税しているのに対し、所得税は個人が稼いだ利得に課税されます。所得税の計算における取得費は被相続人の取得費を相続人が引き継ぎ、相続人が譲渡して稼いだ利得として課税される仕組みです。 また、所有期間の短期・長期の判断については、被相続人の取得日を相続人が引き継ぎます。相続で財産を取得した日を相続人の取得日としてしまうと期間が短くなるので注意が必要です。
支払った相続税の一部を、譲渡所得の計算上、取得費に加算することができる期間が相続税の申告期限後3年間限定という点が重要です。取得費加算の特例の適用には、いくつかの要件がありますので、思い当たる節があればタイミングを逃さないように、税理士又は税務署にご相談ください。
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