扶養義務者相互間で通常必要な生活費又は教育費に充てるための財産の贈与については、贈与税の課税の対象となりません。贈与税のかからない財産は、必要な都度直接生活費又は教育費に充てるための財産に限られます。
したがって、財産を多く所有する扶養義務者が被扶養者の通常必要と認められる生活費又は教育費を直接支出することで財産が減少し、その結果相続税の負担は減少し、扶養される者の生活費等の支出を減らすことができます。
所得税法の扶養控除と異なり、被扶養者の所得要件はありません。扶養義務者とは配偶者、民法の規定による直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいいますが、相続税法基本通達1の2-1ではこれらの者のほか三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がないものであってもこれに該当するものとして取り扱うものとしています。扶養義務者に該当するかどうかの判定の時期は、贈与税にあっては贈与の時、相続税にあっては相続開始の時の状況によることに留意します。